【私的音楽評】No,252 ニシセレクト 68

【私的音楽評】No,252 ニシセレクト 68

 

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「女性を口説き落とすには、年度末の 3月が一番なんだよ」
そう語ったのは女性関係が派手な友人だった。
彼曰く、就職・進学進級で環境が変わると女心に隙間ができるそうだ。
どうなんだろうか?
まあ、引越とか卒業は、告白するタイミングとしてはアリだよな。

 

前出の友人は女性を口説くのが上手くて、
Barのカウンターで偶然その場面に遭遇し、端で聞いていて感心した。
女性の口から「食べてみたい」とか「行ってみたい」と自然に言わせる。
彼の話術とその展開は、ひとつの才能だと思ったよ。
片や、口説くことがまったくダメだった後輩も、昔いたなぁ。

 

T君は経済学を研究する院生で、同大学の文学部の娘に恋をした。
お互い好意を抱きながら、いまひとつが越えられない。よくある話し。
ある日ファミレスで、俺たち音楽仲間の先輩はT君から相談を受けた。
「で、なんて言って口説いてダメだったの?」
彼は一枚のメモを取り出した。
そこには“僕と貴方が交際をした時のメリットとデメリット”が。
「まさかこの箇条書きを彼女の前で読んだ?」 「
分かりやすく整理してみたんですが…」
俺たちは人生の先輩として真面目不器用な後輩にアドバイスをした。
「これは恋愛ではない、商談だよ。情報があっても感情がないだろ」
さらに「ポロシャツの下にランニングシャツはダサイよ」
とも助言しておいた。

 

その後、すったもんだの末、彼と彼女は結ばれたとの噂が広がった。
飲み会の席に現れたふたりは、明らかに恋人同士の雰囲気だった。
「でさあ、決め手の口説き文句はなんだったんだ?」
酒の勢いもあって回りがはやし立てたが、彼は照れて首を振った。
ふいに、ほろ酔いの彼女が立ち上がり大声で言った。

 

それはぁ「つるつるしたそのオデコにキスしたい、でした!」

 

T君は真っ赤になり「言うなって!それじゃあオレ高校生みたいだろ」
彼女は「いいじゃん、かっこよかったよう」と笑っていた。
ふとみるとT君はポロシャツの下にランニングシャツを着ていなかった。

 

現在ふたりは二児の親。約 30 年前の初春のお話しでした。

 

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さて、今回紹介するのは、口説きの名曲
君の顔が好きだ/斉藤和義(1994年)
https://www.youtube.com/watch?v=SlHPBbYDPqY


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