【私的音楽評】NO,166 ニシセレクト43 さだまさし

電車で正面に立っている若いお母さんが

腰をクネクネするんです。

昼下がりに人妻が腰をクネクネ。これはいけません。

しばらくすると訳が分かりました。

小さな女の子がお母さんのお尻を、それも「間」を触っている。

むすめにとってそこは触り心地が良いのでしょう。

ただ場所が場所だけに、お母さんとしては受け入れがたい。

小さな手でお母さんの腰がクネクネ。だめだったらそこは。

その”攻防”が微笑ましいのです。

 

バスの空席を見つけたセーラー服のお姉さんが

小さな弟に席を譲りました。

弟君は懸命にわずかな隙間を作ります。

「座れるよ」そんなしぐさにお姉さんは首を振ります。

すると隣のお婆さんが

そのまた隣にも声をかけて席を詰めてくれました。

弟君はポンポンとシートを叩いて促します。

小さく頭を下げて座ったお姉さんは、じつに恥ずかしそう。

その横で弟はにんまりと、じつに満足そう。

 

公園でタバコを吸っていたら、

自転車1台を引きながら男子中学生が三人がガヤガヤと。

ひとりが自転車を後ろで支えて、ひとりがまたがり、

もうひとりは座り込みペダルを何やらしています。

自転車にまたがった男の子は少し不安げな表情。

「よーし」ペダルの子のかけ声で自転車が動き出します。

ふらつきながらゆっくりと、そして徐々に速度が増し、

後ろの支えを放しても公園を回っています。

バンザイをしながら、腕をグルグルしながら追いかける二人。

帰り際に自転車の足元を見てハッとしました。

友だち二人と笑っている彼の左足は義足。

義足が大きな輪ゴムでペダルについていました。

 

若い頃は、光り輝くまぶしい風景に目が行きがちでした。

若い頃は、格好つけて格好いい物語を探しがちでした。

小さな幸せの光景をたくさん見過ごしてきたと思います。

年をとったらそれが見えてきました。

たぶんそれは、人が生まれた訳がわかってきたから。

誰かがいて誰かが幸せになれる。それに気付いたのです。

 

今回紹介する歌は、さだまさしさんの「いのちの理由」です。

http://www.youtube.com/watch?v=cjd3Hsiw2NU&feature

さたまさし/美しい朝(album)より


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