【私的音楽評】NO,188 ニシセレクト 50

ストロボライト

 

初音ミクに代表される歌声合成技術ボーカロイド(VOCALOID)

その作品がとんでもないことになっていると

少々興奮して友人がブログである曲を紹介していた。

あまり期待せずに、聴いてみたよ。

「ここまで来ているのか…」が正直な感想。

完成度は高く、ハートに来るモノがあるんだ。

合成音なのに、いや合成音だからか?

無機質な手触りの向こう側に、

生身の人間の、表現したい体温や情熱を僕は感じた。

この作品には当然作者がいるわけで、

その彼(彼女)が、つまり“青春している”のだ。

若さ故のせつなさや、たおやかさが音の中につまっている。

いやはや、今までなめていました。オジサンは反省します。

 

ボーカロイドを特殊なオタク文化として

差別する傾向があるようだが、なぜだろうか。

だってひとつの新しい楽器でしょ?

創作して歌わせているのは人間なんだ。

新しい楽器が生まれると、それまで封印されていた感性が

作品というカタチになって、僕らの前に現れる。

新世代の音楽表現を歓迎しようよ。

さらに、前述の友人の知識を拝借すると、

ボーカロイドの世界は、創造的なつながりの世界らしい。

つまり、人工音声の歌に誰かが動画やイラストを付けたり、

編曲し声や伴奏を加えたり、生身の人間がカバーで歌ったり。

それらがネット上で展開されて、広がっていく。

「私の作品を勝手に使わないで!」などと

なまじり上げているclassicやRockの皆さまより

シェア精神にあふれている。聴き手にとっては嬉しさ倍増だ。

 

旧世代からボロクソに叩かれたビートルズは今や音楽の古典だ。

下品な電気的雑音と揶揄されたヘンドリックスのギターもしかり。

特殊な音楽文化に留まっているボーカロイドもやがて

“差別”を打破し一般的な支持を得て、当たり前になるだろう。

そしてもし、技術革新が言語を超えるレベルになったら、

地球上でどのように才能が交ざり合い、どんな作品が現れるのか。

そいつは単なる自己満足で終わるのか、有機的な表現となるのか。

旧世代のオジサンには想像できない。だから、楽しみなんだ。

 

 

ストロボラスト/作詞作曲編曲:ぽわぽわP、歌:初音ミク 

YouTubeはこちら

 

教えていただいた友人、沼田真一氏のブログは↓

<「動機ある者」プランナーとしての生活とその思考>

※ぽわぽわPの驚きの正体が記されています。一読を。

沼田真一氏のブログ

 

【追記】

仕事で会話型ロボットのコンテンツ製作をおこなっているので

職場に“お話しロボット”がいます。エンジニアの汗の結晶です。

だからね、ボーカロイドの開発者はきっと日々思っているよ。

「やっぱ、生身の人間の歌ってスゲーよ」と。

ホント、人間ってすごいのよ。

 


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