【私的音楽評】No,173 ニシセレクト46

【私的音楽評】No,173 ニシセレクト46

 

喝采

 

50年前に作られたという大島紬(着物)を間近で見たら

ため息が出ちゃいました。

同じく50年前に作られたスバル360(自動車)を眺めていたら

思わず唸っちゃいました。

どちらも作り手の“出来る限りの最高を目指す”が

込められているわけです。

「とりあえず、こんなもんで」ではなく、

「これに賭ける」の心意気が作品から伝わってくるのです。

昔がよかったなどと言う気はさらさらありませんが、

昔の人はスゴかったと心底思えるのです。

 

 

歌の世界にも、作り手の心意気が込められた作品があります。

ひとつ紹介します。

 

喝采/ちあきなおみ 作詞:吉田旺/作曲:中村泰士/編曲:高田弘

 

40年も前の歌謡曲です。

この歌の設定は

“死んだ恋人を思いながらステージで歌い続ける歌姫”です。

歌詞の構成が凝っていて、1番2番を通じて場面が転換します。

1番は、ステージ→駅→教会

2番は、教会→駅→ステージ

この複雑な場面転換を

たった18行の歌詞とメロディとリズムそして歌唱だけで聴く人に届けます。

情景がはっきりと画像となって表れるんです。

もうこれは一編の映画と言っていいでしょうね。

 

この時代、ドラマとのタイアップはもちろんのこと

プロモーションビデオなんて無いです。

歌を届ける手段も、テレビ、ラジオ、有線放送。

たぶん曲の長さも4分以内と決まっていたと思います。

そんな制約があっても、いや制約があったからこそ

「作品にすべてを込める」があります。

歌だけで勝負する。作り手の心意気です。

 

ちょいとそこいくお兄さんもお姉さんも

まあ一度聴いてみてくださいな。

温故知新。昔の人はスゴかったんです。

 

●喝采(1972年)/ちあきなおみ

 

 

※そこのお姉さん、コロッケのものまねを思い出しちゃだめよ。

 


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