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お酒のハナシをしようかと…年末だし。
親父から酒の飲み方の“基礎”を教わった。
「ヤケ酒は絶対に飲むな、酒がもったいない」それが口癖。
そして堅物で無口な父親が、酔うと饒舌かつ陽気になるので
飲酒に悪い印象はなかった。
妻も堅物の部類の人間だが、酒が入ると可笑しく変身する。
先日などは泥酔して帰宅し靴下を脱いで親指に話しかけていた。
「おいオヤユビ〜、たまにはお前、中指を助けてやれよぉ」
アルコールに覚醒された脳みその夜は長いのだ。
お酒の失敗談では俺も負けてはいない。
二日酔いで目覚めると、鞄の中に履いていたはずの靴があって、
浴槽にラーメン丼が浮かんでいた時はさすがに反省した。
というネタでその日もバーで飲んでいたっけ。
「なあ山田、俺の話を聞けよ」
「部長、聞いていますって、ちゃんと」
上司と部下の飲み屋での会話っていいもんだ。
意味は無くていいんだ。一緒にいる理由が「酒を飲もう」で。
チェーン店の“個室”つーのは少々寂しいね。
異文化とのふれあいつーのが生まれない。酒場の醍醐味に欠けます。
以前長崎の居酒屋で、どこかの出張サラリーマン達が歌い出した。
♪ながさき〜はー、今日もあ〜めーだ〜った♪
すると別のグループが
♪ワっわっわー、ワっわっわー
店のオヤジがビール瓶を差し出し「お客さんちゃんとマイク持って!」
極めつけは、調理場のおばちゃんから「キヨシちゃーん」の声援。
ライブ感バツグンのワンナイトショー。
日本酒やら焼酎のBGMは歌謡曲であってほしい。
レディガガもビートルズも似合わない。
日本全国酒飲み音頭という歌がむかし流行ってね。
浅草の一杯飲み屋の有線から聞こえてきてさ、
隣に居た作業服のオッサンから話しかけられた。
「なあ兄ちゃん、実家、どこ」
「福岡県」
「俺、山口県。隣だね」
「関門海峡」
「壇ノ浦の戦い、だな」
「オジサン歴史ずき?」
そんなどうでもいい会話が生まれる、お気楽な歌だった。
いいんだよ、お気楽で。酒が旨いのだから。
日本全国酒飲み音頭/バラクーダ(1979年)
http://www.youtube.com/watch?v=36z7K2zfHm0&feature