人を、街を、音楽でつなぐ市民団体 NPO法人ARCSHIP 【私的音楽評】 No,228 ニシセレクト 62

【私的音楽評】 No,228 ニシセレクト 62

【私的音楽評】 No,228 ニシセレクト 62

 

 

♪噫(い)また不意に接近している 淡い死の匂いで
♪この瞬間がなお一層
♪鮮明に映えている 刻み込んでいる
♪あの世へ持って行くさ 至上の人生 至上の絶景

 

NHKサッカー放送のテーマ音楽、椎名林檎さん作詞の一部です。
凄いよ。
「淡い死」「至上の絶景」スポーツのテーマ曲とは思えません。
どうやら賛否両論あったみたいですが、私は絶大に評価します。
サッカーとW杯の魅力を凝縮結晶化した見事な歌詞です。

 

サッカーは1-0のロースコアが当たり前、つまり1点は奇跡。
その1点の瞬間を世界中の人々が熱い視線で観ている。
たとえ50本のシュートを打たれようが、
逆にたった1本のシュートがネットを揺らせば勝利する。
実力だけでは決まらない、芸術的で残酷ともいえる競技。
興奮するなと言われても、無理な話だ。
サッカーは自由な競技だ。ゴールキーパーもシュートを打てる。
サッカーは解放された競技だ。たとえば、
日本の高校サッカー選手がメッシと対戦する道も開かれている。
天皇杯とACLで勝利すればバルセロナのメッシと戦えるのだ。
W杯にも出場年齢制限は無い。

 

サッカーの魅力は興奮と自由と解放。
だからW杯は世界最大規模のスポーツの祭典となった。
サッカーの魅力は興奮と自由と解放
それを裏返せば、敗者の絶望と落胆。つまり「淡い死」。

 

林檎さんは、たぶんサッカーファンではないだろう。
それでもこの歌詞を書き上げた。おそらく身を削って。
ひたむきなプロフェッショナルだと思う。
ひたむきだから「至上の絶景」を知っていたんだ。
なんだか、せつないなあ。

 

さあ日本代表はギリシャ戦。
俺たちにも「至上の絶景」を見せてくれ。

 

【私的音楽評】椎名林檎

 

椎名林檎 – 『NIPPON』<いよいよ後半戦Ver.>
http://www.youtube.com/watch?v=0H4ZVbUmUYI


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