【私的音楽評】NO,187 五十嵐セレクト 51

 

 

ついこの間、『ライブハウス「ロフト」青春記』という本を読んだ。

 

 

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1970年代に、烏山に始まり、西荻窪・荻窪・下北沢・新宿と、
都内各地に伝説のライブハウス「ロフト」を次々とオープンさせた、
平野悠氏の伝記的な本である。

 

 

70年代前半に、「これからは日本でもROCKの時代が来る」との予感から、
JAZZ喫茶をライブハウス(当時はこの呼び名も無かったそうです)に
改造し、パイオニアとして一世を風靡した平野氏及び「ロフト」の歴史が
この本には刻まれている。

 

 

いや〜、面白かった。そしてうらやましいな〜。とも思った。
勿論、音量の問題もあっただろうし、当初チンピラが主な客だった
ロフトを狙い通りの店にするまでの氏の苦労は並々ならぬものが
あったであろうことは想像できるし、
少ない情報から、魅力的なミュージシャンをブッキングする
という作業は、楽しいながらも大変なものであっただろう。

 

 

ライブイベント自体はほとんど赤字ながらも
氏がこの空間を維持し、ここに集う音楽好きたちの
酒代を軍資金として、ロフトを次々とオープンしていった
様から、日本のロックを底辺から拡大していかなければ、という
平野氏の使命感のようなものが伝わってくる。

 

 

いずれにしても、この本を読むと自分が音楽を聴き始めた
70年代後半には、ロフトは既にシーンでは大きな存在で、
当時の音楽雑誌ではライブハウス情報は重要なコンテンツだった
ことを思い出す。

 

 

高校時代に友達に誘われていった「新宿ロフト」は、
当時の自分からしたらとっても背伸びをした場所
「異空間」だったことなども…

 

 

ライブハウスに今一度スポットライトが当たる日は来るのだろうか?

 

 

と、いうわけで、今回はロフトをはじめとした
ライブハウスでのセッションから生まれた
アルバムを3枚ご紹介しましょう。

 

 

 

星くず/うえむらかをる

 

まさに、ロフトでのセッションから生まれたアルバム。
このアルバムについてはこの本でも、若干の後悔を伴って
少し触れられている。
竹内まりやや、おおたか静流など、当時フレッシュだった
女性シンガーと一流どころのミュージシャンによる作品。
今のところ“vol.1”しか出ていないところは残念である。

 

アルバムはこちら

 

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「ロフト・セッションズvol.1」/Various Artists

 

 

 

Groovin’/山岸潤史

 

当時のライブハウスの告知チラシやFM雑誌に掲載されていた出演者情報を
みると、結構「セッション」の文字が躍っていたことがわかる。
このアルバムも次のアルバムもそうしたセッションから生まれたアルバムである。
時代は、クロスオーバー〜フュージョンへとまさに移ろうとしていた。

 

アルバムはこちら

 

ギターワークショップvol.1
「ギターワークショップvol.1」/Various Artists

 

 

 

Sweet Illusion/坂本龍一とカクトウギセッション

 

これも、ひんぱんに繰り返されていたセッションの流れから生まれたアルバム。
ギターワークショップがビクターのプロダクションだったのに対して、
こちらはソニーのプロダクションである。
ちなみにこのアルバムは、細野晴臣や鈴木茂などの熟練ミュージシャンたちの手を借りて
ニューヨーク、太平洋、エーゲ海とシリーズ化されたアルバム群といとこ同士の関係にある。

 

アルバムはこちら

 

サマー・ナーブス
「サマー・ナーブス」/坂本龍一とカクトウギ・セッション

 

 

それじゃ、また!!

 

 


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