【私的音楽評】 No.184 ニシセレクト49

【私的音楽評】 No.184 ニシセレクト49

 

七夕の日に限らず、天の川はいつで夜空にある。

それを知ったのはいまから45年前、9才の時だった。

福岡の父方の田舎に帰省したおり、

弟とふたり漆黒の夜空を見上げて、唖然とした。

まるで銀色の帯が落ちてきそうな星空。

「おにいちゃん、ぜんぶぜんぶ星なの?」

僕の袖をつかんで放さなかった小さな弟は、

何を感じていたんだろう。

 

20才代に付き合った女性は、月と星が好きだった。

夜中の1時に枕元に坐り

「これから星を見に行きませんか?」それが日常だった。

彼女とは佐渡島へも行った。

人家から離れ誰もいない砂浜で寝転んで星を見た。

「スバルの下で小さく輝く星。きっと宇宙人がいるの」

「じゃあ、ふたりで引っ越すか?」

けらけらと笑う彼女は、何を思っていたのだろう。

 

30才直前に、あこがれの地アフリカのケニアを旅した。

神奈川県くらいの面積の国立公園の真ん中で、

マラリアを媒介する蚊に刺されながら、星空を見上げた。

南十字星は本当に十字型で、ひとりで笑った。

流れ星が地平線に落ち、アカシアの木の陰に目をやると、

闇にキリンのシルエットが浮かんで見えた。

キリンは立って寝ることをはじめて知った。

僕はビールを飲んだ。いったい何を考えていたのやら。

 

先日帰り道の途中、路地裏の外灯の下で佇む人がいた。

自転車で近づくと、妻が口を開けて星空を見ていた。

 

SEKAI NO OWARIが歌う「スターライトパレード」

遠い昔から、それこそヒト誕生のその日から、

僕らをどこかに誘ってくれた星空を書きとめた歌詞が素敵だ。

その歌は

♪それはまるで僕たちの文明が奪った 夜空の光のように

で終わる。

ただのロマンチックではない、

彼らなりのシニカルなロマンチックがそこにある。

 

あなたは、最近、夜空を見上げましたか?

 

sekainoowari

 

SEKAI NO OWARI/スターライトパレード(2011年)

 

 

 


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